不動産を売却する際には、様々な費用がかかります。また支払いのタイミングも異なりますので、これから不動産を売却する売主としては費用が「いつ」「いくら」必要になるかを事前に理解し、すぐに支払いができるよう準備をしておきましょう。そこで今回の記事では、不動産の売却時にどうような費用がいくら必要なのかを詳しく解説していきます。
目次
売買契約前にかかる費用
一般的に、不動産を売却する場合、費用が発生するタイミングは売買契約後と考える人も多いですが、木造住宅など古い物件を売却する場合、「ホームインスペクション(住宅診断)」の費用がかかる場合もあります。
特に、中古木造住宅の売買において、購入後に隠れた欠陥が見つかることが多くあるため、当事者間でトラブルとなるケースが発生しています。そこで、2016年2月26日、政府は宅建業者に対して売買契約時に「ホームインスペクションを実施するか否かの確認」を義務化する改正宅建業法案を閣議決定しました。
つまり、これにより、これからの中古住宅の売却時にホームインスペクションをすることが一般化される可能性が高くなります。ちなみに、細かく調査する場合は、10万円を超える費用が発生することもありますので、あらかじめいくら必要になるのか確認をしておくことをおすすめします。
売買契約後にかかる費用
不動産売却にかかる費用の9割は、売買契約時からそれ以降になりますが、主にかかる費用は以下の通りです。
(1)仲介手数料
仲介手数料とは、不動産取引の仲介をしてもらった際に不動産会社に対して支払う料金のことですね。不動産売却にかかる費用のうち、大部分を占めるのが、この「仲介手数料」になります。売買の仲介手数料については、宅建業法によって売価価格に応じて上限金額が設定されています。
・売買価格が200万円以下の場合 5%
・売買価格が200万円以上400万円以下の場合 4%
・売買価格が400万円以上の場合 3%
なお、上記の金額には消費税は含まれていないため、別途消費税が必要になります。
仮に、不動産の売買価格が3,000万円だとすると、96万円(消費税別)の仲介手数料を支払う必要があるということですね。
ただ、仲介手数料は成功報酬なので、媒介契約をしても、売買契約が成立するまでは支払い義務は発生しません。
仲介手数料の支払うタイミングは?
仲介手数料を支払うタイミングは不動産会社によって異なりますが、主に3つのタイミングがあります。
1、売買契約時に全額支払う
2、売買契約時に50%、残金決済時に50%と分けて支払う
3、決済時に全額支払う
このように仲介手数料の支払うタイミングは不動産会社によって異なりますが、仲介手数料は金額は大きいため、いつ支払う必要があるか事前に不動産会社と打ち合わせをしておくことをおすすめします。
(2)印紙税
不動産売買契約書には収入印紙を貼って消印する必要があります。収入印紙はの金額は、売買価格によっても異なりますが、売買価格が「1,000万円以上5,000万円以下」の場合、売買契約書1部につき1万円の収入印紙が必要になります。
基本的に売買契約書は、売主1通、買主1通の計2通作成しますので、それぞれの契約書に貼る印紙代を自ら負担する必要があります。
(3)登記関係書類の所得費用
決済時に不動産の登記名簿を売主から買主に変更する必要があるため、そのために必要な各種書類の取得費用がかかります。取得が必要な主な書類と費用は以下の通りです。
印鑑証明書
印鑑証明書は市町村の役場で取得することができます。印鑑費用の取得費用は各自治体によって異なりますが、東京の新宿区の場合、1通300円で取得できます。また、登記上の住所と現在の住所が異なる場合、住民票も必要となりますので、合わせて取得しておきましょう。
固定資産税評価証明書
所有権移転登記に必要とななる証明書です。物件所在地を管轄する役所で所得することができます。固定資産税評価証明書は、1通につき400円の発行手数料がかかります。なお、一戸建てやマンションなどの場合は、土地と建物それぞれの固定資産税評価証明書が必要になります。
(4)住宅ローンが残っている場合は、一括返済費用に関わる費用が必要
不動産の売却時に住宅ローンが残っている場合は、売却時に一括で返済しなければなりません。一般的に、売買価格をそのままローンの一括返済に充てるため、現金で準備するケースはありませんが、万が一、住宅ローンの残高が売買価格を上回っている場合は、不足する金額を実費で準備する必要がありますので注意しましょう。
なお、住宅ローンの契約内容によっては繰り上げ返済によって違約金や手数料が発生する場合もあるため、事前に住宅ローンを組んだ金融機関に確認しておきましょう。
住宅ローンの一括返済のタイミングは?
住宅ローンの一括返済のタイミングは、基本的には、売買の決済時と同時に行います。流れとしてはまず、買主が売主の銀行口座へ売買代金全額を入金し、それを同時に住宅ローン残高分が一括で引き落とされます。そのため、住宅ローンの残高分が売買代金で不足する場合は、あらかじめ口座に不足分を預け入れておく必要があります。
(5)抵当権抹消費用
住宅ローンの一括返済が完了すると、銀行から抵当権抹消書類がもらますので、司法書士に渡して抵当権抹消登記をしてもらう必要があります。必要としては、司法書士費用が約2万円前後、また登録免許税が不動産1件につき1,000円となります。
司法書士に支払う費用に関しては、決済日現金で支払うか、振込にするかなど予め確認しておくとよいでしょう。
(6)引越し費用
そして最後に引越し費用です。住み替えの場合、新居への引越し費用がかかりますよね。ファミリータイプの引越し費用は10万円を軽く超えてくることも多いため、予め引越し会社に見積りを依頼しておくことをおススメします。アリさんマークからサカイ引越センターなど大手引越し業者を100社以上の中から10社の見積りを比較できるサービスです。ぜひどれくらい引越し費用が異なるか試してみてください。
不動産売却にかかる費用まとめ
不動産の売却にかかる費用を解説してきましたが、なんとく理解できましたでしょうか。不動産売却にかかる費用の中でも、大半を占めるのは仲介手数料ですが、不動産会社によって支払うタイミングが異なるため、できれば買主が正式に決まった時点で、不動産会社の担当者に支払いのタイミングに関しては確認しておくようにしておきましょう。
また、引越し金額も引越し会社によって金額が異なるため、どれくらいの引越し費用が必要になるのか事前に見積りをとっておくことをおすすめします。
不動産の売却にかかる費用をある程度、把握しておけばもう不安なこともありません。あとは良い不動産会社を見つけ、買主を探すだけでになります。